会ったことのない相続人がいる場合どうすればよいでしょうか。

 面識のない相続人がいることが判明する場合とは、相続手続きで、戸籍の収集をしていく中で判明することが多いと思われます。例えば、前妻のお子さんがいた場合や、兄弟が相続人になるケースで会ったこともない異母兄弟が相続人になるケースです。

亡くなった人が遺言を遺していない場合、原則どおり、相続人全員で遺産分割協議を行います。相続人全員で行わない遺産分割協議は無効ですから一人でも協議に参加しない、合意ができない場合はいつまでも相続手続きが進みません。相続手続きが進まないということが、不動産の名義変更ができなくなりその不動産の売却ができない、また定期預金がおろせないという事態になってしまいます。そこで面識のない相続人にも協力してもらわなければいけないのです。

面識のない相続人とは亡くなった本人と疎遠になっていることが多いです。つまり、亡くなった本人と近い方も当然面識がありません。そのような場合、面識のない相続人は本人やその関係者と連絡をとりたくないと思っていることが多いです。もしくは当時の感情から感情的になられてしまう方もいらっしゃいます。そのため、相続人から面識のない相続人に直接コンタクトをとると相続争いに発展する可能性も高くなるかと思います。

そこでそのようなケースでは専門家を通すのも一つの方法です。最初のコンタクトを間違えてしまうと相続争いに発展する可能性が高くなります。面識のない相続人がいらっしゃる場合はまず、手紙を送るのが良いと考えます。いきなり電話や直接会うというのは相手の迷惑につながるかもしれませんので相手の時間を奪わない手紙という方法で行います。そして重要なのが手紙の内容です。まず、最初の手紙では極力遺産分割協議をこうしたいなど既に決まったことのような内容は控えるべきです。面識のない相続人の意見も伺いたいので連絡をほしい旨を伝えます。いきなり遺産分割協議書を送りつけるのはもっての他です。相続人である以上、遺産分割に意見を述べることや、法定相続分がありますのでしっかりと意見をきかなければなりません。

そしてもう一つ大事なことは、リスクを伝えるということです、人は、自分に関係のないことについては協力したがらない傾向にあります。そのため相続手続きをしないとこのようなリスク、デメリットがあるということをきちんと伝えることが必要です。例えば、相続手続きをしないと不動産の固定資産税の支払いを負うことになる、空き家になってしまって損害を与えた場合は損害賠償を負うなどです。最も重要なことは、相続人の後の世代、お子さんなどにそのリスク・負担を背負わせてしまうことです。誰でも自分の子どもに自分たちで解決すべきことを残してしまうことは避けたいと思います。そのことをしっかり伝えて遺産分割をしたいので意見を伺いたいというお願いをすることになります。

当事務所では面識のない相続人がいるケースでも対応可能ですのでお気軽にご連絡下さい。