法定相続証明制度とはどういったものでしょうか?

 法定相続情報証明制度とは、相続人が登記所へ亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、そして相続人の戸籍謄本、住民票などをつけて提出し、登記官が認証文付の法定相続証明書の写しを交付するというものです。その法定相続証明書があれば戸籍謄本一式がなくても銀行などの金融機関、証券会社などで金融資産の解約や名義変更手続きができるというものです。こちらの法定相続情報証明書は、現状まだ法務局の手続きでしか使用できないものですが、いずれ金融機関の相続手続きでも使えるようになるのではないかと言われています。

法定相続情報証明制度の創設の理由として、不動産の所有者(登記名義人)が死亡した場合には、不動産の名義変更(相続登記)が必要となりますが、近年、相続登記が未了のまま放置されているケースが増えており、それが空き家問題等の一因となっています。相続登記が放置されますと、現在の所有者の確定が難しくなり、また、相続人などの関係者が多くなりすぎて協議がまとまらないなどの問題が生じ、土地や建物についてそのまま処分や解体などができず、そのままの状態になってしまうのです。そのため、法務省において、相続登記を推進するために、法定相続情報証明制度を新設しました。

本制度を利用するメリットとしては戸籍謄本等一式に代えて1枚の紙で相続手続きできるということです。また、複数の相続手続きの同時進行がしやすくなると考えられます。

ただ、原則通り遺産分割協議書や印鑑証明書はその都度必要ですし、相続放棄なども別途相続放棄受理証明書など必要になってきます。戸籍の束が1枚の証明書で手続きできるようになっても、金融機関には遺産分割協議書や印鑑証明書をもっていかなければなりません。遺産分割協議書は1通または相続人数だけ作ることが多く金融機関の数で作成することは少なく、結局遺産分割協議書を持ち回りすることになりますので注意が必要です。