相続人が遠隔地に住んでいるため一堂に会して遺産分割協議書を作成できない場合はどうすればよいですか?

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。ただ、この合意を成立させるために、必ずしも全員が一堂に会する事は必要ではありません。相続人全員が一堂に会せずとも持ち回りで遺産分割協議を行うことが可能です。

ただ、相続人全員が一堂に会せずに持ち回りで遺産分割協議を行う場合には、分割の内容が確定しており、その内容が各相続人に提示されていることが必要です。すなわち、相続人の一部が遠隔地に居住するなどの理由により直接的に協議に参加できない場合には、相続人の一人が相続人全員の意向を勘案して遺産分割案を作り、これを相続人全員に提示した上、相続人全員がこれに明確な受諾の意思表示をすることにより遺産分割協議を成立させることができます。ただし、このような場合には、遠隔地にいる相続人の意思が的確に伝達されることはもとより、相続人全員が遺産分割案の内容を熟知し、これに的確な受諾の意思表示をしたときに初めて協議が成立したことになります。

このように、遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が必要ですから、このような合意の成立を明らかにするため、共同相続人全員が一通の文書に署名・捺印をすることとし、これを共同相続人の数だけ作成するのが望ましいとされています。ですが、相続人の一部が遠隔地に居住する場合には、一通の遺産分割協議書を持ち回りして作成することは面倒です。そこで、このような場合には、相続人それぞれ個別に同一内容の「遺産分割協議証明書」を作成して、遺産分割が相続人全員の合意により成立したことの証拠資料とすることがあります。