相続する財産が多くなくても遺言を作った方がよいのでしょうか。

 たとえ、それほど相続財産が多くなかったとしても遺言は作っておくことをお薦め致します。遺言を遺すことで、相続人間の紛争の予防にもなり、相続手続きを行う負担が軽減するからです。

相続争いは、何も資産家だけに起こるものではありません。財産がわずかでも、少しでも多く貰いたいと思うのが人の性であり、仲の良い家族でも、その配偶者など周囲の人の思惑とも絡んで、骨肉の争いへと変わってしまうのが相続です。このような無用な争いを避けるため、遺言書を作成することを当事務所はお薦めします。

遺言というと、財産を持っている方が書くもので、遺す財産がほとんどない場合には関係ないと思っていらっしゃる方が多くいます。しかし、遺言は財産の多寡にかかわらず作っておくことをお薦めします。遺言を作っていない場合、原則どおり相続人全員が遺産の分配について協議し、決定します。そして、相続人全員が決めた分割方法で、遺産の名義変更を行っていきます。ここで、その遺産分割協議が成立しないリスクがあります。つまり、相続人の一人が遺産分割に反対しているケースです。このような場合、遺産の名義変更ができません。その後の生活に支障がでる相続人も出てくるかもしれません。

遺言を作成しておくと、上記の遺産分割協議を行う必要がありません。遺言で決めた財産の分配方法で、遺産の名義変更ができます。遺産分割協議を行う時間も省略できますし、相続人の一人が反対していつまでも遺産の名義変更ができないということもありません。そのため、財産が少なくても遺言を作っておいた方がよいのです。逆に少ない財産を分けるのに、相続人同士の中が悪くなることもありますから、相続対策として遺言を作ることをお薦めします。