韓国の戸籍制度について

 こんにちは、司法書士の渡辺です。今回のコラムでは、韓国の方に相続があった場合の戸籍制度について書いていきます。韓国では以前は日本とほぼ同じような戸籍制度がありました。しかし、2008年1月1日に戸籍制度は廃止され、それまでの戸主を中心とした家族中心の制度から個人を中心とした制度に改められています。

これにより、従来の戸籍は全て除籍となり、個人を対象とする各種証明書(家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書)の発給がなされています。戸籍制度の廃止に伴い本籍地という概念もなくなり、本籍地に相当するものとして登録基準地というのが設けられました。登録基準地は変更申請していない限り従前の本籍地と同じです。家族関係登録簿の証明書は5通に分かれていて、従来の戸籍のように1通で全ての身分事項が分かるようにはなっていなく、記載事項別に基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書に分かれています。以下それぞれの証明書について説明していきます。

基本証明書…本人の出生と死亡に関する事項が記録されます。他にも国籍変更や改名、親権の表示がされます。

家族関係証明書…本人を基準として父母、子供、配偶者の記載がされます。ただ、兄弟姉妹は記載されないため、兄弟姉妹を確認するには父母の家族関係証明書を取得する必要があります。

婚姻関係証明書…本人の婚姻、離婚に関する事項と配偶者の姓名訂正又は改名に関する事項が記載されます。

入養関係証明書…養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。

親養子入養関係証明書・・・親養子縁組に関する身分変動事項が記載されます。親養子縁組とは日本の特別養子縁組に相当するものです。

相続による不動産の名義変更をする際にどの証明書が必要となるかはケースによって異なりますが、基本証明書と家族関係証明書は必ず必要となります。