相続の対策①(生前贈与)

こんにちは、千葉市の司法書士渡辺憲久です。今回のコラムでは、相続対策として、生前贈与について書いていきます。生前贈与は上手く利用すれば「相続税対策」として有効です。

 相続税対策

まず、相続税の基礎知識として、相続が発生した全ての方に、相続税がかかるわけではありません。相続税には基礎控除があり、遺産の評価額が基礎控除の金額以下であれば相続税はかからず税務署に対する申告も必要ありません。そして、この基礎控除は高額ですから、相続が発生した方のほとんどは相続税が課せられることはありません。ただ、この基礎控除は平成27年1月からは減額されますので、こらからは生前贈与という方法で相続対策が必要な方も増えてくると考えられます。

相続税の納税額を減らすためには、簡単に言いますと、「資産を減らし、負債を増やす」必要があります。生前贈与は資産を減らして相続税の納税額を減らす方法の一つとなります。

 生前贈与と贈与税

贈与というのは、民法という法律に規定されている契約の一つで、「贈与する人が贈与を受ける人に財産を無償で譲り渡す」ことです。つまり、ただで物をあげるということです。相続対策として、亡くなる前に財産を相続人にあげるだけなら簡単だと思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、日本の法律はそれを防ぐために贈与税という税金を課しています。この贈与税の税率が高いため、なかなか高額な贈与はできません。具体的な税率については基礎控除などもあり計算が複雑になりますが、1000万円を超える財産を贈与する場合には税率は50パーセントとされています。これは、贈与によって相続税等の納税を免れるなどの脱税行為を防ぐためだと考えられています。

 具体的には

贈与税は年間110万円であればかかりませんので、110万円ずつ贈与をして資産を減らすことが考えられます。ただ、この方法のデメリットは、時間がかかるので、長期的なスパンで考える必要があるということです。また、1年ごとに同じ時期に110万円ずつ贈与をしていった場合、相続時に、税務署から税金逃れとみなされ、生前贈与分も相続税の課税財産としてみなされてしまうこともあります。それを避けるためには、1年ごとに別の時期、別の金額を贈与するという方法をとり、金額もちょうど110万円を贈与するのではなく、1年目は90万円、2年目は100万円というように分けるとよいでしょう。また、110万円を少し超える金額、例えば120万円を贈与して、毎年贈与税の申告と納税を行うという方法も考えられます。