ゴルフ会員権と相続

 こんにちは、司法書士の渡辺憲久です。今回のコラムではゴルフ会員権と相続について書いていきます。

預託会員制のゴルフ会員権は、個々の会員とゴルフ場を所有経営する会社との契約上の地位であり、ゴルフ場施設を優先的に利用する権利、年会費納入等の義務、入会に際し預託した入会保証金を据え置き、期間経過後退会とともに返還請求し得る権利等を内容とします。

ゴルフ会員権の中には、預託会員制のほか株主会員制や社団法人制の会員権もありますので、どのような種類・性質のゴルフ会員権か確認する必要があります。以下では、預託会員制のゴルフ会員権を前提に説明します。

ゴルフ会員権は相続されるか

ゴルフ会員権が相続されるかはゴルフクラブの会則等内部規則を確認する必要があります。ゴルフクラブの中には、会則等の内部規則において会員の死亡を会員資格の喪失事由として定めている場合があります。この場合、当該ゴルフクラブの会員たる地位は一身専属的なものであり相続の対象とはなり得ないとされています。

ただ、ゴルフクラブによっては、会員の死亡を会員資格の喪失事由と定める会則があっても、運用により相続人の地位の承継を認める場合もありますので、念のためゴルフクラブに確認する必要があります。

会則等の内部規則において特に定めがない場合には一般的にはゴルフ会員権は相続の対象になると考えられます。

なお、ゴルフ会員権が相続の対象にならない場合、預託金返還請求権や滞納年会費支払義務等の個々の債権・債務を相続することになります。

他方、相続の対象となる場合には、ゴルフ会員権の名義書換手続きを行うことになります。

ゴルフ会員権の名義書換

名義書換えに必要な手続き、必要な書類については、ゴルフクラブによって異なりますので、ゴルフクラブに確認する必要があります。

一般的には、会則等の内部規則において、理事会の承認等の要件を定めている場合が多くみられます。そこで、会員権を取得する相続人が理事会の承認を得られるか否かをあらかじめ確認しておく必要があります。

なお、必要な書類としては、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、預託金証書、ゴルフ会員権を取得する相続人の住民票及び印鑑証明書、名義変更申請書等になります。