家族信託

 信託とは、財産を持っている人(=委託者)が、信頼できる人(=受託者)に財産を託し、特定の人(=受益者)のために、その財産の管理・処分を任せる仕組みのことをいいます。信託の中でも、信託銀行や信託会社が行っている不特定多数の委託者を相手とした営利目的の信託のことを「商事信託」といい、財産を託される人(受託者)が、営利目的としないで行う信託のことを「民事信託」といいます。民事信託の中でも、財産を託される人(受託者)が委託者の親族である場合を「家族信託」と呼んでいます。

家族信託では、まず、信託契約の締結とともに、委託者は、財産管理を受託者に委ねることになります。その後、委託者が認知症などで判断能力が低下したとしても、受託者は、引き続き、財産管理を行うことができるため、成年後見制度の後見人による財産管理の必要がありません。また、最終的に、委託者に相続が発生した後、誰にどのような財産を残すといった内容を信託契約に盛り込んでおくことにより、遺言と同じく財産の承継先を指定することができます。