贈与登記後3年以内に相続が開始した場合の相続税について教えて下さい。

 相続や遺贈によって財産を取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から贈与により不動産などの財産を取得した場合には、すでに所有権移転登記をした贈与不動産の価額を相続税の課税価格に加算して、相続税の計算をします。この場合すでに納税した贈与税があるときは、相続税から納付済の贈与税が控除されます。なお、被相続の配偶者(共同相続人の一人)がすでに居住用不動産を受贈し、贈与税の配偶者控除の特例を受けている場合は除かれます。また、平成15年に創設された相続時精算課税制度を適用した場合には、相続開始前3年以内の贈与加算の規定はありません。

現行の相続税の課税方法は、遺産取得税方式により贈与税は相続税の補完税の性格を有しています。この趣旨は、財産を生前に贈与することにより相続税負担の軽減を防止することにあります。贈与税の基礎控除(1年間に110万円)は相続税の基礎控除に比較して低額であり、税率は逆に高く設定されています。また、相続税は超過累進税率によって課税されるため、生前に贈与した財産の価額は相続税の税率の高い部分から贈与されたことになり、相続税の回避を図ることが可能となります。

上記のとおり、贈与税は相続税の補完税ですから贈与者の死亡に伴う相続税の課税上、生前の贈与財産は、できる限り相続財産に取り込んで相続税を課税することにより贈与税を清算するのが課税の衡平上望ましいことになります。しかし、すべての生前贈与財産を相続税の課税財産に含めることは現実には不可能ですから相続開始前3年以内の生前贈与財産に限定して相続税の課税価格に加算することとされています。ただし、この規定は次の2つの条件を満たしている場合にのみ適用があります。

1.相続又は遺贈により財産を取得していること

2.その相続開始前3年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得していること

なお、贈与財産が所有権移転登記または登録の目的となる財産で、その贈与の時期が明確でないときは、納税者において特に反証のない限り、その登記または登録のあった日に贈与があったものと扱われます。登記申請情報には必ず登記原因として贈与の日付が記載され、それが登記記録に登載されますが、相続開始日が平成26年6月3日のところ、贈与の登記の日が平成23年8月3日、その原因が平成18年3月10日とする事例では、実務上、平成23年8月3日の贈与となります。もちろん18年分の贈与として税務署にすでに申告してある場合、または5年以上も登記が遅れた合理的な理由等があれば結論は異なります。