相続する遺産が株式である場合の評価方法について教えて下さい。

 ・上場株式の評価方法

上場会社の株式については、株式市場の株価という客観的な指標があるため、これをもとに株式の時価を判断していきます。したがって、原則としては遺産分割時の株式市場の株価を基準に株式の評価額で判断することになります。

ただ、株式市場での株価は、様々な理由により日常的に変動します。そこで、遺産分割調停や審判でも、特定の一時点での株価ではなく、遺産分割日に近接する一定の期間を定めて、その間の株式取引所での価格を平均したものを評価額としてあつかうことも多いようです。調停・審判外で遺産分割協議書を作成する場合は、当事者が合意をすれば、株式の評価の判断時期や評価方法を自由に定めて協議を行うことが可能です。しかし、合理的評価をして共同相続人が納得できる結論を出すためには、遺産分割調停や審判と同様に、遺産分割時に近接する一定の期間を定め、その間の株式取引所での価格を平均したものを評価額として扱うことを原則とすべきです。

・非上場株式の評価方法

非上場株式の場合には、株式の市場価格はありませんから、上場会社のような評価方法は採用できません。そこで、一般的には、収益還元方式、純資産評価方式、配当還元方式、類似業種比準方式と呼ばれる方法で評価を行います。

1.収益還元方式

会社の収益を基準とし、会社の将来獲得する一定期間の収益を清算した上で、これを発行済株式総数で除して評価する方法です。

2.純資産評価方式

会社の総資産額から負債等を控除した純資産価格を発行済株式数で除して評価する方法です。企業の収益性や将来性が反映されにくいという問題点があります。

3.配当還元方式

株主の受ける一定の配当可能利益を現在価値に評価し株価を算定する方法です。配当を行っていない会社には適用が困難です。

4.類似業種比準方式

当該会社と類似する規模及び業種の上場会社群の株価を参考にして評価する方法です。小規模な会社に適用することが困難な場合があります。

それぞれの評価方法には一長一短がありますので、評価する会社の特質に合わせ、これらの方法を組み合わせて株式を評価するのが一般的です。株式の評価は専門知識がないと行うことは困難ですので、当事務所にご相談があった際には、提携の税理士をご紹介させていただいております。ぜひ、お気軽にお問合せ下さい。