相続税の申告期限はいつまででしょうか。

相続税の申告期限は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内とされています。ただし、その者が本来の相続税申告期限内に日本国に住所および居所を有しないことになる場合には、その有しないこととなる日までに申告書を提出しなければならないこととされています。

相続税の申告期限が特に問題にされる理由は、相続税は被相続人の総財産にかかる課税であり、納税義務は連帯責任とされるためです。それは、10カ月という短期間に相続財産の調査、相続人の確定から始まって遺産分割協議の成立までを完了しなければならないので相続人の方の作業負担は大きいといえます。

なお、相続税の発生する際の遺産分割では特に下記の相続人について留意が必要です。

・行方不明者

相続人の中に行方不明者がいる場合には、行方不明者の不在期間、状況に応じて失踪宣告の申立てと不在者の財産管理人の申立ての方法があります。いずれの場合も、家庭裁判所の決定までに日数がかかりますから、もし、10カ月以内に遺産分割協議ができない見込みのときには、行方不明者を含めた法定相続分により共同相続人の一人から保存行為として税務申告をすることになります。

・未成年者

未成年者が法定代理人と利益が相反する場合には、家庭裁判所に対し、未成年者のために特別代理人の選任の申立てをし、選任された特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加することになります。ただ、未成年者が特別受益者であるときは、利益相反する立場の親権者であっても事実証明としての証明書の署名者となることができます。

・胎児

胎児の場合は生きて誕生することが確定的でないため、母親が胎内の子の代理人となることも、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てをして遺産分割協議をすることもできません。胎児としての期間がほぼ10カ月であるため、ほとんどの場合は10カ月の税務申告期間内に出産されるでしょうが、特に申告を急ぐ事由がある場合で胎児が未だ母の胎内にあるときの相続税申告は、胎児を含めない法定相続分ですることになります。

・任意後見契約委任者

相続人が任意後見契約(公正証書)を締結しているとき、任意後見契約が発効するまでは任意後見受任者ではなく委任者である相続人が遺産分割協議をします。任意後見監督人が選任され任意後見契約が発効した場合は、任意後見人に遺産分割の代理権が付与されていれば任意後見人が分割協議に参加します。ただし、代理権に任意後見監督人の同意を要する特約があるときには同意を要します。