死亡退職金

 死亡退職金とは、民間企業ほか公務員等、労働者が死亡した際に支払われる金銭のことをいいます。この死亡退職金が相続財産にあたるかについては様々な判断がありますので注意が必要です。具体的には「死亡退職金を受け取る権利」が誰にあるのか、というそれぞれの支給規定によって異なります。

死亡退職金と相続

例えば、死亡退職金を受け取ることができる人を本人以外の具体的な人と規定している場合には、その受取人固有の権利と解釈(最判昭和55年11月27日、最判昭和60年1月31日)されるため、相続財産とはなりません。

死亡退職金は遺族の生活保障という性質が強いので、生計を一つにしていた方が第一順位になっている場合が多く、仮に内縁関係であったとしても妻が受給権者となるケースが多いようです。このように法定相続人でない方が受け取った場合には、相続財産であるかどうかという議論はそもそも存在しないことになります。

しかし、受給権者が規定されていない場合の死亡退職金の相続財産性については、肯定、否定両説があり、確立された裁判例も存在しません。支給額、支給慣行、支給経緯等を勘案して個別に相続財産性を検討することになります。

また、死亡退職金の受給に関して、特に注意が必要なのが、故人に多額の債務があり相続放棄しようと考えている場合です。上記のように死亡退職金の支給に関して具体的な規定がなく、相続財産と認定される死亡退職金を受け取ってしまった場合には単純承認してしまったことになるため、その後相続放棄をすることができなくなってしまいます。逆に、支給規定によって相続財産とはならない場合であれば、死亡退職金を受け取っても相続放棄することが可能です。

また、死亡退職金が相続財産に含まれないという場合であっても、特定の相続人が多額の死亡退職金を受け取ることは特別受益にあたると判断されるケースもありますので注意しましょう。なお、相続人にとって分割対象財産とならなくても、相続税法上はみなし相続財産となり、相続税の対象となりますので混同しないようにしてください。